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海外に赴任することになった。
初めての海外での仕事で不安だ。
初めて部下を持つ、それも外国人。しかも現地では自分が外国人。
海外赴任するって言うのは、いっけん華やかですけど不安もつきまといますね。
海外での仕事を成功させるには、現地スタッフとの信頼関係を築くことが必須です。
今回は、海外赴任で現地スタッフの信頼を築くためにやってはいけないこと5選を私の回りの経験に基づきご紹介します。
この5つを気をつけていれば、現地での無用なトラブルを避けることができます。
海外 駐在員が仕事でやってはいけないこと5選
駐在員がやってはいけないことは以下の5つです
やってはいけないこと5選
- 怒鳴る
- 日本と比べる
- 日本人だからを言い訳にする
- 理由を説明せずに仕事を振る
- いずれ日本に帰ることばかり言う
ではそれぞれ説明していきましょう。
【1】怒鳴る
まず何があっても、怒鳴ってはいけません。
特に大勢の前で、一人を怒鳴るというのは最悪です。
怒鳴っているように感じられるような話し方すらも、気をつけて避けたほうがいいでしょう。
日本でも、部下を怒鳴るというのは褒められたものではありません。
ですが特に外国では、怒鳴ることによって生じた亀裂を埋めることは、本当に難しいと考えてください。
あなたがどんなに現地の言葉や英語が堪能でもです。
まして通訳を通じてしかコミュニケーションができない上司が、現地の部下を怒鳴ったりしたら目も当てられない事態になります。
当の部下本人どころか、通訳からも信頼を失います。
外国人上司が部下を「しかる」コツ
とは言え、部下がトラブルを起こしたときなどは「しかる」ことも必要な場合はあります。
ではどうするか?
やることは、2つ。
- まずは、自分が冷静になることです。とにかく一呼吸置いてください。
- その後で、本人とは事実確認をしましょう。
その時は周りが無用な注目をしないように、場を配慮してください。
できれば、通訳も入れないほうがいいです。
パワハラ認定にも注意
私の場合は、普通の会話をするように自席に呼んで話します。
その時は、はたから見たら世間話でもしているように見えるようあえてにこやかに振る舞っています。
その上で、できるだけ短時間で話を済ますよう心がけています。
ここでの注意事項は、メールで叱責の言葉を送らないことです。
これは、思った以上に相手を傷つけますし場合によってはパワハラの証拠にされてしまいます。
「よくあること 気にするな」のメッセージ
もうひとつは、他のメンバーに向けて上司であるあなたから、一般的な事例としてトラブルの話をすることです。
これは相手をさらしモノにするということではなく、スタッフ全員の業務を改善するという意図です。
それから本人に対して「君だけが特別に悪いわけでない。よくあることだ。」というメッセージとして伝わることも期待しています。
話しているときは個人が特定される様な言い方や、本人への目配せなどもしないように注意してください。
ましてやトラブルを起こした本人に、他のメンバーに向けて説明させるなんてことは絶対やめてくださいね。
【2】日本と比べる
現地の仕事や生活を、日本と比べてどうだこうだと言うのは避けましょう。
特に現地のスタッフに対して、日本を判断基準に置いて優劣をつけたりすることは最も避けるべきです。
現地のスタッフにしてみれば、「そりゃあなたの国は立派な国で良かったですねぇ」と反発を受けること間違いなしです。
日本でのビジネス経験に照らして、あくまで事例の一つとして日本を引き合いに出すことはかまいません。
ですが、あたかも日本のやり方が全て正しいかのような物言いは要注意です。
現地には現地のやり方があります。
現地のやり方で、どうやったら日本の本社が求める成果を出せるか現地のスタッフと話し合いましょう。
そもそもそれが、あなたの役割ですから。
【3】日本人だからを言い訳にする
言葉ができないこと、食べ物が合わないこと、現地の風習が受け入れがたいこと。
海外で暮らすとどうしても避けては通れないことですね。
ですが、こういう問題は自分の中だけにとどめておきましょう。
日本人だから、うまくコミュニケーションできずミスに気が付かなかった
日本人だから、社内のレクリエーションには参加しない
日本人だから、何でも本社の言う通りにしなければならない
日本人だから、多少の納期遅れは許してほしい
などなど
仕事の面で自分が日本人であることを言い訳にして、できないことを並べてもあなたは自分の勤めを果たせません。
現地のスタッフにとって、あなたは外国人であり上司でただでさえ異質で厄介な存在です。
そんなあなたが、外国人であることを笠に来て勝手なことを言っていては現地スタッフは誰もあなたを信頼しなくなります。
【4】理由を説明せずに仕事を振る
日本での上司と部下、先輩後輩の関係なら逐一細かい理由や内容を説明しないでも
「あれ、やっといて。」とか「これ、よろしく。」
というような、非常にハイコンテクストなコミュニケーションだけで仕事を任せてもなんとかなるものです。
ましてやその仕事の理由を説明するなどほとんどないでしょう。
ですが海外で現地スタッフに仕事をふるときは、なぜそれをやろうとしているか必ず理由や狙いまで説明しなければなりません。
相手も馬鹿ではありませんので、やることだけいい渡してもやってくれはするでしょう。
でも、こちらが何を意図してこの仕事をお願いしているかきちんと説明しないと相手との信頼感に繋がりません。
日本では、やることだけ伝えても何となくこちらの意図を汲んでくれることは珍しくありませんよね。
ですが、外国人相手ではまずその様な事は起きません。
単に、言われたことを言われたようにやってくるだけです。
とは言えやる意味のわからない仕事は苦痛ですし、本当にこのやり方であっているのかな?と不安になりますよね。
そんな心理的な苦痛ばかり与える上司は、部下からは無意識に敬遠されてしまいます。
「本社に言われて」はNG
ここで一つ注意、理由を説明するというと「日本の本社に言われたから」とか「本社に報告する必要があるから」とか
やたらと「本社」のせいにしたがる人がいます。
これは絶対NGです。
「結局こいつら、日本の言いなり。なんだかんだ言ってこっちの味方じゃないんだな」と現地スタッフに見切られてしまいます。
赴任したらあなたは現地の社員です。
あくまでも現地の立場で本社とは向き合うようにしつつ、スタッフに対しては「本社」を言い訳に使わないようにしましょう。
【5】いずれ日本に帰ることばかり言う
あなたは任期を言われて赴任してきています。
ですが現地スタッフはあなたが帰任しようがしまいが、退職するまでその職場に居続けます。
あなたがどんな態度でいようとも、現地スタッフにとってあなたは短期的にその場にいるだけの人なのです。
どうしてもあなたの意思決定は、その場限りで近視眼的に言っているように見えてしまいます。
あなたの立場はそういうものなのです。
そんなあなたが、もし普段から「私はいずれ日本に帰るから」というような発言ばかりしていたら?
そもそもそんな人が、信頼されるはずありませんね。
駐在員が理解しておくこと
以上やってはいけない5選でしたが
これに加えて、海外駐在員として理解しておきたいことがあります。
現地のスタッフとの溝はうまらない
はっきりいいますが、現地スタッフとの間には文化的な背景も含めて必ず溝があるものです。
どんなに日系企業に長く働いていて、日本人慣れしているスタッフといえど多かれ少なかれ溝はあります。
その溝はいつも見えているわけではなく、なにかの問題が起きたときにわかるものなのです。
その溝がある上で、人間同士の感情も存在します。
彼らなりに外国企業に務め、外国人上司の下で働く覚悟を決めてはいます。
でもはじめから相容れる態度を持たない相手に対しては、どんな人でもいい感情は持てないものですよね。
適度なあきらめが必要
外国で暮らし働くということは、現地のやり方に従うということです。
日本ではこうやってうまくやっているのに、何故やらないんだ?と思うことも多々あります。
ですが、現地でうまく立ち振る舞うためには「まあここでは、こういうものなんだ」という適度なあきらめが必要です。
それができない人は、どこへ行ってもストレスフルで耐え難いものになるだけです。
通訳は生命線
もう一つ具体的な注意事項があります。
それは、通訳の存在です。
非英語圏では、通訳は必須の存在です。
もし彼らに嫌わたら、何をやってもうまくいかなくなります。
彼らは、私達の言葉を伝える役割ですがもちろん彼ら自身にも感情があります。
ミスもしますし、不正確な言葉選びをする場合もあります。
こちらも日本語をしゃべる彼らを一瞬日本人の感情を理解するものと誤解することがあります。
そんな彼らに対して、イラッとしたり感情をぶつけたりするのはお門違いです。
それに、彼らにはときに嫌な言葉を通訳させる場合もあります。
言いたくもないことを、同僚にむけて言わせるのです。
それを忘れないようにしましょう。
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まとめ
憧れの海外駐在でも苦労は絶えないものです。
みなさんは現地では日本の役職より1つ2つ上の役割を与えられることも多いでしょう。
上司として初めて持った部下が外国人、しかもあなた自身が現地では外国人。
ただでさえ難しい立場です。
みなさんが成果を上げられるかは、現地のスタッフに信頼されるか次第です。
それ以外ありえません。
みなさんが赴任先で信頼を得て、素晴らしい仕事をされることを祈ります。