この記事を読んで少しだけ人生を変えるのに必要な時間は約 6 分です。
みなさんは、次の状況のどれが一番イラつきますか?
A:隣の事業部は業績好調でボーナスもたくさん出た、だけど自部門は業績横ばい
B:隣の事業部の業績は横ばいだが、自部門は業績が下がっている
C:会社全体が業績不振で誰もボーナスはもらっていない
どうでしょうか。
Aの回答はいわゆる「妬み」の感情です。
でもAを選んだみなさんは、何もおかしいわけではありません。
太古の昔、狩猟採集の生活をしてきた人類の子孫である我々は隣の人間を見て妬み使って生き残る戦略を考えてきたのですから。
だけど現代人は、他人を妬まなくても死ぬことはありません。
むしろ、成功したければその妬みを捨てるべきなのです。
そもそも妬みとは何だ?
ブッダは、妬みとは数ある煩悩のなかで怒りの一種だと教えています。
ひとは、自分を特別と思い込むもの。
身の回りで「普通の人」が、「特別な自分」より恵まれた結果を得てるいることにイラつく感情が妬みというわけです。
自然と消すことが難しい妬み
単純な怒りのばあいは、なにかにその気持ちをぶつけたり、相手があれな話合ったり。子供っぽいですが、ケンカしたりすることで解消されます。
ですが、妬みの気持ちはこのような解決策では解消しません。
ずっと心のなかにあり続けようとするので厄介なのです。
唯一の方法は、「妬んでますよ」と誰かに言ってもらうことで自分を取り戻すことです。でも、そのような事を言ってくれるひともめったにいませんよね。
それに、もし言ってもらっても素直にそれを認めることができるかどうか。
妬みのこころは、他人の失敗を望む
自分と他人をくらべて、妬みの気持ちにとらわれてしまうとどうにかそれを解消したくなります。
なにせ、怒りでずっと気分が悪いわけですから。
解消するためには、自分が追いつくのか、他人の方が転がり落ちてくるのかどちらかです。
でも自分が追いつくのは容易ではなさそうとなると、安直に相手が失敗することを望んでしまいます。
つまり、妬みの気持ちは他人の失敗を望む気持ちに転化してしまうのです。
妬みは本人にとっても、苦痛。
妬みの気持ちを抱えた状態といのは、解消されない怒りを抱えた状態です。
自分から解消することが難しいわけですから、とっても苦痛ですね。
他人の失敗を望んで、少しは解消しようとはするもののなかなか思う通りにもなりませんからね。
妬みが無益なワケ
実は妬みの気持ちの厄介さというのは、もう一つあります。
それは、際限がないという事です。
似た境遇のひとを妬む気持ち
妬みの気持ちは、そもそも手の届かない相手に対しては生まれません。
自分と似た境遇にある人にだけ、その心は向けられるのです。
たとえば、海外セレブ一家の豪華すぎる暮らしぶりをテレビで見てもそれに嫉妬することはありませんよね。
それよりも同僚の営業成績が急激に伸びたことには、強烈に妬みを覚えます。
もしあなたが億ションオーナーになれたとしたら
あなたは、運良く経済的な成功を収めたとします。
あなたはこれまで住んでいた郊外のアパートから、都心の億ションへ引っ越しました。
「引っ越しました。お近くにお越しの際はお立ち寄りください」なんての引越しの案内はがきを出したりします。昔の同僚たちが驚く顔を思い浮かべ、悦に入ったのもつかの間です。
あなたは、自分より上階のもっと眺めの良い広い部屋に住んでいる住人がいることに気が付きます。
彼らの身につけているもの、愛車、育ちの良い子どもたち、公の場での立ち居振る舞いや高尚な趣味を目の当たりにします。同じマンションに住んでいても、頭一つ彼らの方が勝っているのです。
そして、彼らに対する妬みを覚えるのです。
妬みは無益で際限がない
つまり、妬みの気持ちは際限がなく自分で解決することも難しい。
他人を羨ましいと思いながら、彼らの失敗を望むことで自分の気持ちを押さえている。
そうなると、自分を高める努力をしなくなります。
なんて苦痛で、なんて無益なんでしょうか。
妬みを克服して生きるには?
ではこの厄介な妬みの気持ちを、どうやって克服したら良いのでしょうか。
仏教の修行的なアプローチもありますが、我々普通の人はなかなかハードルが高い。
そうではなく、普通の我々が日常を過ごす中で妬みを捨てていける方法をご紹介します。
前段が長くなりましたがここまで読んで、妬みの無益さに気がついけばそれを捨てる第一歩を踏み出しています。
大丈夫。
自分と他人を比べる事をやめる
他人を妬む心は、他人と自分を比較して評価することから生まれます。心の奥底で、自分は特別だと考えながらも自分の優位な点を見つけないと気がすまない。
自分と同じか、少し下だと思う人間を見つけなんとか安心した気になっているのです。(そもそも他人を「評価」する必要など無いのですが)
そんなときに、思いの外自分より恵まれた結果を出した人間などを目にすると妬みの心が表に出てきてしまうのです。
つまり、他人と自分を比較して生きている以上は副産物として妬みのこころが芽生えてしまうのです。
どうすれば、比べるのをやめられる?
他人と比べることで安心するのは、つまりは自信がないからなのです。
どんなことでも良いから、自信を持てる分野があれば他人と比べて自分の位置を確かめることなんて必要なくなります。
とはいえ、自分にはなんにも無いんだし自信なんてあるわけないそう思っていませんか?
大丈夫です。必ずあなたにも、誰にも負けないナンバーワンの分野があるはずです。
自分の中にナンバーワンを見つける方法
人間は誰しもナンバーワンを持っています。あまりそのことにフォーカスしないだけで、きっと持っています。
なにも、オリンピックアスリートのように単一競技のガチンコ勝負で世界一になる事はありません。
範囲を狭めたり、条件をつけたりしてあなたの持っているナンバーワンを探しましょう。
たとえば、この会社の3年目までのエンジニアの中で会計の知識なら誰にも負けない。
とか
この地域で、中小企業経営者の人脈なら誰にも負けない。
とか
自分の出身地の地酒の知識なら誰にも負けない。
などでいいのです。
仕事に限る必要もありません。趣味でも、ボランティア活動でも何でも良いのです。どんなに小さなことでも良いから、「自分にはこれがある」を見つけましょう。
これはあくまできっかけですが、これを糸口にして自信をつけ他人と比べたい衝動を和らげる事ができるのです。
唯一比べていい相手がいる
ここまで他人と自分を比べるなと、再三言ってきました。
でも実は、世界でひとりだけ自分と比べても良い人がいます。
それは、”なりたい自分”です。
”なりたい自分”と今の自分を比べて、そのギャップに目を向けること
これだけが意味のある比較です。
それ以外は、誰かと自分を比較することはやめましょう。
まとめ
妬みの気持ちを捨てるのは、修行僧でもなかなか難しいといいます。
とは言うものの、その気持は自分から発したものです。
取り憑かれないようにコントロールして、自分の成長を妨げないようにしましょう。
自分から見て、相対的に上にいると評価した場合「妬み」のこころになります。
では逆に、自分より下にいる場合はどうかというと「出し惜しみ」の心になるとブッダは教えています。つまり、自分の能力や財産を自分より下のものに分け与えるのを惜しむ心です。見返りを求めるこころといってもいいでしょうね。
ビジネスで成功した人たちに共通する哲学に、「Give&Give」つまり見返りを求めず一方的に与えることを良しとすることがよく挙げられます。
成功者に共通するのは、独り占めではなく自分能力や知識、時には財産も他人のために与えることなのです。
妬みを捨て他人の成功を喜べるひとは、身の回りでたくさんの成功に出会えるでしょう。
自分を高め、成功した仲間に囲まれているあなたもきっと成功者の仲間入りができるはずです。