この記事を読んで少しだけ人生を変えるのに必要な時間は約 6 分です。
ビジネスは、ひとりだけでは成立しませんね。
お客様からの注文がほしい。
どうしても、協力してもらいたい仲間になってもらいたい人がいる。
取引相手から、もっと有利な条件を引き出したい。
もしこういう願いが、割と簡単に叶うとしたらどうでしょうか?
今回は、ちょっとした工夫で相手に「なにかしてあげないと」という気持ちにさせる「返報性の原理」のテクニックについてご紹介します
この記事の要約
- 好意や敵意には誰もがお返ししたくなる
- 返報性の原理を働かせるには相手の求めるものを
- 大企業が使う返報性の原理の実例
- あなたにも使える返報性の原理
お返しがしたくなる 返報性の原理ってなんだ
みなさんは、誰かに親切にしてもらったとき何かお返しをしなければと感じることはありませんか?
お返しをしないままでいると、どういうわけかバランスが取れない気分になってしまう。
この感情になることを「返報性の原理」といいます。
実はこの感情は、洋の東西を問わず存在するようです。いろいろなテクニックが開発されています。
人の気持ちを揺さぶるこの感情を、あなたもビジネスに生かさない手はないと思いませんか?
返報性のパターン
返報性にはいくつかのパターンがあります。代表的なパターンとして、次の4つをあげてみました。
返報性の4パターン
好意の返報性:親切心や好意を与えられたら、好意で返したくなる
敵意の返報性:悪意を向けられた相手には、同じく悪意で返したくなる
譲歩の返報性:交渉ごとの際に、相手が譲歩したら自分も譲歩しなければならないと感じる
自己開示の返報性:相手の秘密やパーソナルな情報開示には、自分も自己開示をもって返したくなる
要するにいいことにせよ悪いことにせよ、相手から受けたことに対してひとは同じ様にお返しをしたくなるということですね。
返報性の身近な事例
身近にも返報性の原理を利用している場面に、とても頻繁に遭遇します。
たとえば、スーパーの試食コーナー。
表向きは味見をしてもらって、美味しさを実感してもらうことが目的です。
食べたほうからすると、タダで食べだんだからなんか買わないと行けない気になりますね。
もっとシンプルな例もあります。
もしすれ違いざまに笑顔で挨拶をされたら、こちらも笑顔を返したくなりませんか?逆に、すれ違いざまに悪態をつかれたら喧嘩になりますよね。
どうすれば返報性の原理を活かせるのか?
では、どうすれば返報性の原理を働かせることができるのでしょうか?
実は返報性の原理が働くには、条件があるのです。
返報性の原理が働くポイント
”相手の求めているもの”を”相手より先に与える”ことです。
もう一度います。
相手の求めているものを与えること & 相手より先に与える
です。
欲しくもないものと与えても、返報性は働きません。むしろ、迷惑されるかもしれません。
それから相手の方から先に与えてもらっては、こちらがお返しをしてる事になりますので全く意味が違います。
先の試食例では、いい匂いをさせているウインナーなんかは誰でも食べたくなってしまいますし、そこへ「おひとつどうぞ」と先に差し出すから良いわけです。
挨拶の例では、だれだって好意を向けられたいと思っているところへ、先に笑顔を与えるから笑顔が帰ってくるわけです。
返報性の実例
実際に企業が使っている、返報性の原理の実例を見てみましょう。
ドモホルンリンクル
たとえば、「ドモホルンリンクル」の再春館製薬。
電話一本で、無料サンプルを気前よくプレゼントしています。
通常の試供品と言われるものよりも、量も多めで3日は十分に使えるフルセットのサンプルなのが特徴です。
お客様は料金を支払う前に、化粧品の使用感ともに肌が良くなるという効果を先に与えられています。更には、「こちらからお電話いたしません」とも宣伝してることからお客様としては更にただで貰えて得をしたと感じます。
キーエンスの改善事例集
日本の超優良センサーメーカー、キーエンス。一般の方にはあまり馴染みのない会社ですが、オートメーション業界では同社はなくてはならない存在です。
キーエンスの強みは、何とっても営業力です。同社の営業マンの平均年収は軽く1000万を超えます。
同社が営業のサポートツールに使っているのが、センサーやバーコードリーダーなどを使った改善事例です。内容は自社製品に限らず、一般論としてセンサーを使いこなすために必要な知識や国際的な規格についてまとまっています。営業のツールをはなれて、読み物としてもよくできているものです。
割としっかりした紙質の冊子にまとまっていて、営業マンがカタログと一緒に配っています。
これを受け取ったエンジニアは、自分の知識のすきまを埋めるいい材料をもらったという気分になります。
そのあと同社のセンサーを購入するとの言うのは、自然な流れといえますね。
返報性の原理を使ってみよう
みなさんも、返報性の原理を使って仕事をスムースにしてみてはどうでしょうか。
返報性の原理は何も営業さんがお客さんに使うだけではなく、社内向けにも使えるはずです。
たとえば、経理の方だったら各部署で予算や経費の集計が楽になるようなエクセルのシートを作って配ってあげると多くの部署で喜ばれるでしょう。
ほかには、人事労務や総務の方なら事業場別の休日カレンダーを作って配るというのも良いのではないでしょうか。
エンジニアの方なら、ITが苦手なおじさん役員たちに出前セットアップサービスや今さら聞けないPC操作なんかをこっそり教えてあげるのもいいでしょう。
ギブ&ギブの精神が、みなさんを助ける人を増やしてくれます。
繰り返しますがポイントは、「相手が求めているものを、相手より早く与える」です。
まとめ
返報性の原理って、これ以外にも身近な例がたくさん見つかります。
シンプルな原理だなでけに、応用性は高いのでみなさんもチャレンジしてみてはどうでしょうか。
何度もおさらいしますが、ポイントは「相手が求めているものを相手より先に」です。
そのためには、相手の求めているものが何なのか。自分には何が提供できるのかを考える必要があります。
よく「ギブ アンド テイク」といいますが、うまくいく返報性はまずは「ギブ アンド ギブ」の精神です。
とりあえず見返りを求めないで、先に与えることだけを考えることです。
相手からリクエストをされて動くのではなく、先回りして相手の求めるものを与えてこそ返報性が強く働くのです。
みなさんも、ギブ アンド ギブで返報性の原理を発動してみましょう。
きっと、あなたのビジネスにだれもが応援してくれるはずです。