この記事を読んで少しだけ人生を変えるのに必要な時間は約 7 分です。
自分の考えがうまく伝わらない
「わたしは〇〇だと思います」
「〇〇が、原因だと思います」
「〇〇、より△△のほうが良いと思います」
しっかり意見を言っているはずなのになかなか相手に伝わらない経験はありませんか?
同じバックグラウンドを持っている先輩達にすら「よくわかんないな〜」と言われてしまうような経験です。
結論:意見を支える土台が足りません。そのための思考トレーニングが必要です。
この記事の要約
- 自分の思考が整理されていないと相手に意見は伝わらない
- 自分より経験豊富な相手との議論にはコツがある
- 雲・雨・傘の思考法であなたの考えを整理する
- 我流の思考法は早いうちに矯正しよう
わたしの新人時代、そして新入社員を多く預かった経験さらに海外で文化的な背景の違うメンバーとのビジネスと20年近い経験のなかで、意見がうまく伝わらずヤキモキする場面に何度も出会ってきました。
たいていの原因は、話している本人が思考が整理できていないことです。
今回はそんな状態に陥らないため、若手ビジネスマンが真っ先に覚えるべき思考の整理方法についてご紹介します。
どんなにいい提案でも納得する根拠がないと伝わらない
もしあなたがスマホを買いに行ったとして、店員さんから「iPhoneにした方がいいです」と唐突に断定するようにいわれたらどう思いますか?
なぜそう言い切れる?と不機嫌にすらなりますよね。
この店員さんの意見が、こちらの好みや条件、他にももしかしてもっといい選択肢があるかも知れないという不安などを配慮に入れず、お客さんであるあなたが納得するための根拠や理由に乏しいからです。
説得力アップ 雲・雨・傘の思考法とは?
あなたのビジネスにおいても同じようなことが起きていませんか?
あなたが精一杯考えたアイデアをいくら上司に説明しても、ちっとも納得してもらえないどころか逆にイライラされてしまう。
もしかしたらあなたの説明が、このスマホの店員さんと同じになっているのかもしれません。
ではどうしたら良いのか?
ロジカルに物事や意見を説明するのに、「雲・雨・傘の思考法」があります。
企業の経営者にアドバイスをする、コンサルタントが基礎の基礎として使う考え方で事実をベースに、解釈をして、納得できる解(行動)を提案するための思考法です。
つまりこういうことです。
雲 事実を整理する
空を見上げてみると、黒い雲が出てきた(事実)
雨 解釈、分析をする
これは高い確率で、雨が降ると考えて(解釈)
傘 何をしたら良いか伝える
「傘を持って行きましょう」と提案する(行動)
「雲、雨、傘」とはものの例えです。
ポイントは、事実と意見、そして提案がしっかりわけられていることです。
この思考方法で整理した提案なら、「私はそうは思わない」というすれ違いを防ぐことができます。
先ほどの、スマホの場合もお客さんの要望と価格という事実をベースにしてプロとしての目利きと解釈で最適な機種をいくつか提案した上で、iPhoneをお勧めすればよかったわけです。
ビジネス現場の問題解決の場面で
例えば、次のようなビジネス上の問題があったとします。
あなたは、メーカーの営業担当です。
最近、かつてシェア1位だった当社製品の売上が下降しているようです。競合の製品を調査すると、価格を最近下げてきており自社製品より安くなったし、どうもシェアも奪われている模様。
さて、何をしたら良いでしょう?
雲 事実について考える
上記の例で、事実と言えるのは「当社製品の売上は下がってる」、「競合製品は自社品より安い」、「他社品はシェアを伸ばしている」ということで、これ以上でも以下でもないです。
現実の場合は仮説なども加え、もう少し深い調査をして新しい事実を加えます。
大事なことは、事実に基づいて可能な限り数値化することです。
売上が前月比**%とか、他社価格が当社比△〇〇円とか。この数字は、事実ですから誰にも動かせません。
雨 事実をどう解釈するか
上記の事例を短絡的に考えてしまうと、「じゃあうちも値下げだ!」とか「もっと広告を打て!」となってしまいそうですがちょっと待ってください。憶測で簡単に結論を出すのは危険です。事実から、考えられることは何でしょう?
確かに自社製品の売上は落ちているのでしょうが、原因は本当に安い競合製品にシェアを奪われているからでしょうか?
もう少し視野を広げると、代替え製品が登場し実は市場全体が縮小しているのかもしれないし、自社製品にない機能が評価されて他社品が売れているのかもしれない。
あるいは本当に、競合の価格が安いことが効いているのかもしれない。ひょっとしたら、いくつかの原因が複合的に関係しているのかもしれません。
仮に価格が原因だとしても、もっと確信をもって事実をベースに原因の解釈をすべきです。
(この辺りの検証のについては別の機会にするとします。)
傘 打ち手を考える
原因が特定できているならば、打ち手を考えるのに迷いが減ります。
具体的に「広告費をアップしてWEBでプロモーションをしかけよう」とか「販売店へのサポートを手厚くしよう」とか案は出やすくなるはずです。
上司とのディスカッションも、空理空論やすれ違いがなく身のあるものになるでしょうし、あなたの意見も納得してもらいやすくなるはずですね。
なぜあなたの意見は伝わっていないのか?納得してもらえいのか?
あなたが考えたアイデアやプランを伝える相手はどんな人でしょうか?
あなたが新人なら、ほとんどの場合あなたより知識も経験も豊富な相手ではないでしょうか。
そんな人たちを相手に、あなたの意見を支えるロジックもなく「〇〇だとおもいます」、「〇〇のはずです!」と言ったところで決して納得してもらえません。
雲雨傘ができていない意見は誰にも理解されない
自分がベストだと思う提案をしても、上司や客先は「私はそうは思わないな」とか「なぜそう言えるんですか?」となっている場合、あなたと相手は見ているものが違うということです。あなたの伝え方は、次のようになっていませんか?
雲を見てない 事実と意見の混同
「競合の値下げが影響していると思います」、「自社製品は機能が不足していると思います」、「先日販売店に行ったら、在庫切れだったので売り逃しが原因だと思います」、・・・上司の立場からすると、これって君の意見なの?事実なの?となりますね。
事実は事実として整理し、だからこう考えられるというように意見とは区別するように心がけましょう。事実を伝えるのには数字が一番です。
雨の予測をしていない 事実の分析、解釈をしていない
数字が一番とは言え、数字だけを持ってこられても困ります。エクセルの生データを並べただけ、Webからのコピペ記事やデータ。
一体、これが意味することは何なのか?結論をしっかり打ち出すようにしましょう。この場面では、なぜそう考えられるかロジックが大事になります。上司や先輩とのディスカッションから学ぶことも多いハズ。
傘だけ差し出す 打ち手に根拠がない
「広告を増やしましょう」、「Webサイトを刷新しましょう」などなど・・・
あなたは誰よりも現場を知っている自負があって、具体的な打ちてがどんどん出てくる。
それは結果的に正解だったということもあるでしょうが、上司や客先からすれば、なぜそのアクションが有効なの?となるわけです。
しっかり根拠を示すことができなければ、受け入れられないと考えましょう。
あなたの考え方、伝え方が上記のようになっていないか少し意識してチェックしてみましょう。
できるだけ早いうちに身につけよう
ビジネスマンとしてのキャリアを始めるとすぐに、学生時代とは努力のしどころが違うと感じる場面にたくさん出会います。
人に何かを伝えて納得してもらうという技術は、意識しないと習得できないことです。なのに、誰も教えてくれる人がいない分野でもあります。
にもかかわらず、多くの仕事では人に何かを伝えることを避けて通ることはできません。
仕事のあらゆる場面で使ってみて、早いうちに習得することをおすすめします。
まとめ
雲雨傘の考え方は、コンサルタントの必須スキルですが我々コンサルタント以外のビジネスマンにも当然必須です。
考え方の型のことを、フレームワークと呼びますがフレームワークだけを知っていても意味がありません。ぜひ、実践場で使ってみることをおすすめします。
ビジネスマンとして必須のスキルは他にもたくさんあります。私は我流から入り割と苦労しました。この記事がもしお役に立つなら嬉しいです。
最近見つけた、まさに我が意を得たりの本がありますのでご紹介しておきます。
コンサルタントでなくとも、ぜひ早いうちに覚えておくと良いポイントが満載です。
コンサル一年目が学ぶこと